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*Dolce*

素敵サイト「キタユメ。」への愛を語るサイトです。他にもその日あった出来事や、趣味についてなど。

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生徒会やまほまSS

色々おわび用のやまほま。直しを入れてないので、あちこちミスが目立つかもしれませんが、ご容赦下さい。




「誉会長、大丈夫ですか?」
「はい。これを書き終わればおしまいですから。帰っていいですよ」


 心配そうな生徒会役員を帰し、誉はパソコンの画面に集中する。薄ぼんやりと発光するディスプレイいっぱいの文字。
 誉達生徒会は、この一週間、生徒総会に使う議案書作りに追われていた。
 各部活動・委員会に活動報告用紙を配り、会計担当に予算案を作成してもらい、当日の議長を決め、締切までに書類を提出しない部長や委員長を締め上げ、不備のある書類を再提出させてetc……。
 書類を書き上げても、まだ印刷と帳合いと各クラス・職員室の教師達の人数分への仕分けと配布が残っている。
 当日は生徒会で入場の誘導や挨拶や司会進行もしなければならない。
 年に3回ある総会の度に、生徒会はピリピリとした空気に包まれる。
 キーボードを叩きながら、誉は先程の大和との会話を思い出した。


『ねー、誉ー』
『なんですか。今あんたに構ってる暇はねぇんです』
『最近部活にも来ないじゃん。ろくに話もできないしー。忙しいのはわかるけど』
『仕方ねぇでしょ。総会終わるまで役員に暇な時間なんてありません』
『俺、帰り待ってるから、一緒に帰んない?何時頃終わる?』
『いつになるかわかんねぇんで、先帰ってて下さい』
『えー』
『待たれても迷惑です。今、本当に忙しい時期なんですから。あんたみたいな暇人きつねとは違うんです!』


 ……自分でも、言い過ぎたと思う。
 いくら余裕がないとは言え、せめてもう少し柔らかく断れなかったものか。
 誉はエンターキーを押して改行する。文章はあらかた書き終わったので、後は空いているスペースに適当なイラストカットを入れれば終わりだ。
 イラストのフォルダを開きながら、誉は思う。


 本当は、こんな議案書なんて要らない物なのだ。
 こんなに手間暇かけて作っても、総会を真面目に聞いている生徒などほんの一握りだし、総会が終われば大量の議案書がごみ箱に廃棄される。あれを見る度にやり切れない気持ちになるし、実際紙とインクの無駄遣いだという気もする。
 しかし、生徒会会長に籍を置く者として、議案書作りを放棄する事など許されない。責任は果たさなければ。


 必死に自分を奮い立たせつつも、大和に言った言葉が頭から離れない。

 『待たれても迷惑』だなんて思っていなかった。本当は、すごく嬉しかったのだ。それなのに、あんな事を言ってしまった。

 保存の作業を終え、パソコンの電源を切る。生徒会室の戸締まりを確認し、消灯してから外に出た。校舎の中は既に暗い。時計を見ると、もう夜の7時に近かった。
 …もう、大和はとっくに帰っているだろう。自業自得だ。
 下駄箱で靴を取り、玄関から出た所で、いきなり肩を掴まれた。
「ひゃっ…」
 『変質者』という言葉が頭に浮かび、慌てて後ろの人物に殴りかかろうとすると、

「ストップ会長。俺だよ、俺俺。あ、詐欺じゃないから!」

 そこに立っていたのは大和だった。
「……きつね」
「思ったより早かったね。作業は終わった?」
「まだ印刷や帳合いが残ってますけど……なんで、ここに」
 大和はしてやったりの顔で、持っていたコンビニの袋を見せた。
「じゃーん。差し入れ」
 そう言って、大和は誉に缶コーヒーとプリンを渡して来た。
「作業乙ー。あと三日で総会終わるし、がんばれよ」
「………っ……」
 泣きそうになって、誉は大和に抱きついた。
 久しぶりの、大和の匂いがする。ぎゅ、と腕に力を入れると、大和が困ったような声をあげる。
「ほまれー、」
「………さっき」
「ん?」
「…………さっき、迷惑だなんて、思ってねがった、です……本当は、嬉しくて…………今も、」
 言い終わる前に大和に唇を奪われた。
一週間ぶりに触れる大和の唇の感触に酔っていると、唐突に唇を離され、誉は思わず名前を呼んでしまう。
「……………やまと?」
「あーもう!」
 大和ががしがしと頭をかき、誉の顎に手をかけた。
「そーゆー可愛い事言って、この場で襲われたいんデスカ!?」
「この場でって…………け、けだもの!発情ぎつね!」
「俺が発情ぎつねだったらお前はエロ会長だっつーの!」
「誰がエロ会長ですかっ!エロはあんたの方だべしたこのエロっ!」
「はいはいエロで結構ですー!エロついでに大和さん本当にこの場でヤっちゃおうかな!」
「なっ……!」
「冗談だっての」
 冗談、と言われて残念だと感じる自分に気がついて、誉は顔を赤くする。色々いっぱいいっぱいだった誉には、「それに今やったら一回なんかじゃ終われないってば」という大和の呟きは聞こえなかった。

「あのさ。途中まで、一緒に帰ろうよ」
「……はい」
 大和は半ば強引に誉と手を繋いで歩き出す。
「総会終わったら、誉の家泊まっていい?」
 含まれた意味を理解して、誉の心臓が跳ねる。
「……は、い」
 誉の了承を得て、大和は楽しげに言った。
「頑張った誉に、ご褒美やんなきゃな」
「…………………エロぎつね」
「え?俺は一言もエロい事するなんて言ってないけど?やだー会長やらしー」
 によによ、と笑う大和に、してやられた、と誉は悔しくなった。
「と、年上をからかうもんじゃねぇです!」
「つまりエロい事をしろと?」
「!」
 二重の罠にハマった事に気付き、誉の頬に朱が差す。
「そういう事でねくって……」
「あ、俺ここまでだわ」
 寮に続く道を指差し、大和が手を離す。急に冷たく感じる手を、誉はもう片方の手でにぎりしめる。
「じゃあ、また」
 もう少し一緒にいたい、と思う気持ちを押し殺して言うと、誉はその場を立ち去ろうとする。しかし、大和が素早く誉の腕を掴んで、耳元に囁いた。

「ちゃんとエロい事するから、総会がんばれよ」

 それだけ言って、大和は「じゃあなー」と去って行った。
 残された誉は、熱くなった顔を押さえた。大和の吐息が当たった耳元で、心臓の音がバクバクとうるさい。
 それでも、先程生徒会室にいた時より格段にやる気が出ている現金な自分に苦笑して、誉は自分の頬をパチンと叩いた。
「……あと三日、頑張んねぇと」
 そう呟いて、誉は家に向かって歩き出した。


 総会後に二人がどうなったかは、神のみぞ知る。



○あとがき
 自分で書いといてアレだけど、これいつの時期なんだろう?

 中学の時ちょこっと役員をやってた事がありましたが、正直もう一生やりたくないです(文化祭の時ノイローゼになりかけたんだぜ……)。
 総会の時期は、ほぼ毎回同人作家の修羅場のような状態でした。(単にその時のメンバーが無計画だったという話も)
 でも、トータルして振り返ってみると楽しかったです。充実してて。



 誉や英みたいな会長だったら私パシリにされてもいい(真顔)
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