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*Dolce*

素敵サイト「キタユメ。」への愛を語るサイトです。他にもその日あった出来事や、趣味についてなど。

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金色のねむり・5



 白身魚のフライに、ジャガイモの茹でたものと、茹でたとうもろこしにバターをかけたもの。
 簡単な夕食を済ませて、シャワーを浴びて、ベッドに入ると、アメリカはイギリスをきらきらした目で見た。
「約束だぞ。イギリス、お話ししてくれ!」
「わかってるよ。何がいい?ジークフリート、ベオウルフ、カドモス王……」
「聖ジョージ!」
 イギリスの口の端が上がる。
 イングランドの守護聖人とされる人物の名前をあげられるのは、なんだか嬉しかった。

「昔、セルビオスという王が治めるラシアの町に竜がいた。竜は度々町に現れては毒の息を吐いて、住民を苦しめ…………」

 話が終わる頃には、アメリカの瞼はほとんどくっつきかけていた。
 イギリスは苦笑して部屋の灯りを消そうとしたが、
「まだ眠くないぞ……。もっとお話し…………」
 アメリカがイギリスの服の裾をがっちりと掴んでいた。
「おとなしく寝ろ。子守歌歌ってやるから」
「……………寝てる間に、イギリス帰っちゃ……駄目だぞ…………」
「帰らないよ」
 ごしごしと目をこするアメリカの額にキスをして、イギリスは静かに歌い出した。


「Golden slumbers kiss your eyes,
 Smiles awake you when you rise.
 Sleep pretty darling, do not cry,
 And I will sing a lullaby.

 Care you know not, therefore sleep,
 While I o'er you watch do keep.
 Sleep pretty darling, do not cry,
 And I will sing a lullaby,
 And I will sing a lullaby.」


 すう、とアメリカが寝息をたて始める。イギリスの服を掴んでいた手が、ゆっくりとシーツに落ちた。
 イギリスはランプの灯を消し、部屋に暗闇を充満させた。外から、梟の鳴き声がした。
 隣で眠るアメリカの体温を感じながら、イギリスは考える。

 このまま、兄弟のような関係を保ったまま、過ごしていけるかもしれない。
 一途に自分を慕ってくれる彼を失わずに済むかもしれない。
 それは、とても甘い誘惑だった。
 けれど、それを実現できると思う度に頭に浮かぶのは、眼鏡をかけて快活に笑うアメリカだった。
 自分の手を離れて、世界に飛び出して、戦争もして、傷ついたりして、それでも楽しそうに笑うアメリカの姿だった。
 自分が願いを叶えれば、きっと、あのアメリカは消えてしまうのだろう。
 いいじゃないか、ともう一人の自分が心の中で嘯く。
 『この子供に比べれば、あんな奴、いなくなったって構いやしないだろう?』
 そうだ。独立なんかしようとして、戦争を吹っ掛けてきて、勝手に手元を離れていった奴なんて知るものか。
 そう思うのに、あのアメリカがいなくなると考えると、どうしようもなく胸が苦しかった。
 ずっと受け流してきた筈の痛みの、何倍も酷い痛みだった。当然受け流すこともできずに、イギリスは顔を歪める。
 アメリカのアホ、と心の中で呟いた。勿論、大きくなった方のアメリカに対してだ。
 痛みの正体がなんなのか、気付きたくなくて、イギリスは目を閉じた。

 意識はすぐに闇に落ちた。







○読むと台無しになるあとがき
………イギリスの作る料理、成長期の子供に食べさせるメニューじゃない(笑)
多分あれですよ。じゃがいもとか煮くずれする程茹でてあって、とうもろこしもくたくたになる程煮込んであるんですよ。噛みごたえのない食事(笑)
イギリスの食事事情調べてたら、「イギリスのコックの仕事は味をつけることではない。食材にしっかり火を通すことだ」みたいな文章があって噴いた。イギリスクオリティ…………。

作中でイギリスが歌っている歌は『Golden Slumbers』というイギリス民謡です。気になる方はググってみるといいかもしれません。素敵な曲です。
ところでこれ著作権とか大丈夫なのだろうか………(びくびく)
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