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*Dolce*

素敵サイト「キタユメ。」への愛を語るサイトです。他にもその日あった出来事や、趣味についてなど。

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金色のねむり・4

イギリス、気付くの遅いよ!の巻







「やっぱりイギリスの淹れる紅茶が一番だな」
 アメリカはティーカップに入った紅茶を口で息をふきかけて冷ましながら飲んでいた。
「俺が淹れると渋くなったり、薄かったりで、こんな風に香りが出ないんだ」
「そりゃお湯の注ぎ方と蒸らし時間の問題だ。あとで教えてやろうか」
 キッチンで茶請けのスコーンを作っていたイギリスは、ボウルをかき混ぜる手を止め、アメリカの方を見る。
 しかし、イギリスの予想とは逆に、アメリカはふるふると首を横に振った。
「別にいいよ」
「なんでだよ。お前だって、毎日美味い紅茶飲みたいだろ」
「だって俺は美味い紅茶じゃなくて、イギリスの淹れた紅茶が好きなんだ。だから、イギリスはもっとたくさんうちに来て、俺に紅茶を淹れなきゃいけないんだぞ」
「………」
 馬鹿だなあ、とイギリスは思った。言おうともした。
 けれど、口から出てきたのは別な言葉だった。
「…………………………………飲みたかったら、お前が俺の家に来ればいいだろ」
「…いいの!?」
「ん、ああ」
 アメリカがあまりに嬉しそうな顔をするものだから、イギリスは少し疑問に思ったことを言った。
「………そういえば、お前、俺の家に来たことなかったよな」
 少なくとも、独立する前まで、アメリカはイギリスの家を訪ねたことはなかった。それを指摘すると、アメリカはこう答えた。
「だって、イギリスいつも忙しそうだから。行っちゃまずいのかと思ってたんだ」
 どうやらこの頃のイギリスは、アメリカに家に来いと言ったことがなかったらしい。
 確かに、当時は忙しくてなかなかアメリカに気を配れなかった。
 子供だったということだ、昔の自分も。
「嬉しいな。じゃあ、今度紅茶が飲みたくなったら、俺がイギリスの所に行くことにするよ!」
 アメリカの喜ぶ姿を見て、惜しいことをした、と思った。もっと早くに言っておけばよかった。
 そして、不意に気づく。

 今、自分は過去にいる。これから先、起こるであろうことを知っている。だから、回避する方法も、おそらく知っている。


 それは、つまり




 この少年を手放さずに済む未来を築けるということじゃないか?






『望み。望み。あんたの望み。叶えるチャンスをプレゼント』



 妖精の言葉が、甘美な誘惑となって、イギリスの脳裏をよぎった。

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