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金色のねむり・3
[No.24] 2006/12/09 (Sat) 19:08
ちびめりか大好き。
野ウサギの巣や、木イチゴの茂みや、手作りだという鳥の巣箱や、アメリカは思いつく限りの素敵なものをイギリスに見せて回ろうとしているようだった。
「イギリス、今度はあっちだ!面白い花が咲いてるんだ!」
「少し落ち着けよ。別に俺は逃げないから」
小一時間アメリカにつきあっているうちに、イギリスもなんとか苦笑を浮かべる程度にまでは落ち着いていた。
小さなアメリカとの会話は、昔住んでいた家の中を手探りで歩くようなもので、一度コツをつかむとすぐにあの頃の調子を取り戻すことができた。
「最近イギリスが来なかったからだぞ。見せたいものがいっぱいたまってるんだ」
そう言って口を尖らせるアメリカの頭を、イギリスは温かい眼差しをして撫でる。
「俺もよくわからないんだが、多分今回は、しばらくここにいられると思う」
「本当!?」
「ああ。だから、少し休ませてくれ」
「うん!じゃあ、俺の家に行こう」
アメリカが方向転換して、イギリスに手を差し出した。
「こっちだぞ!」
「馬鹿、道くらい覚えてる」
「俺が手を繋ぎたいんだ!」
そう断言されてしまっては何も言えない。
照れくさい気持ちで、イギリスはアメリカのまだ小さな手に自分の手を重ねた。微塵の躊躇いもなくイギリスの手を握ると、アメリカは満面の笑みを浮かべる。
「この間、イギリスがくれた紅茶、まだ残ってるんだ。淹れてくれるかい?」
「ああ」
「今日は泊まっていくの?」
「……多分」
「だったら、寝る前にこの間してくれた竜退治の話してくれよ。あれ大好きなんだ」
「……そうだったな。お前、あれ好きだったよな」
懐かしい気持ちでイギリスは昔のことを思い出した。
アメリカにせがまれて、一晩中知っている限りの物語を語ったこともあった。
次は?次は?とアメリカがあんまり聞いてくるものだから、しまいにはストックがなくなって、自分で話を作ったこともあった。
イギリスは、この小さなアメリカを、今とても甘やかしてやりたい気分だった。
それはきっと、アメリカの為というより、自分の為にだろう、と思って、イギリスは自嘲の笑みを浮かべた。
「あ、もちろん、イギリスのことも大好きだからな!本当だぞ!」
突然そんな事を言われて、イギリスは一瞬思考を停止させた。
脳裏に一瞬浮かんだのは、今この場にいる可愛い少年ではなく、眼鏡をかけてハンバーガーをむさぼり食う、可愛くなくなった元少年の顔だった。
心のもやもやを晴らすように、イギリスはアメリカの髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。
「………………ばーか、子供の癖に、告白なんて百年早いんだよ」
「子供じゃないよ。背だって2センチも伸びたんだ!」
「子供子供。そういうこと言ってるうちは、まだ子供だ」
青年になった彼は、もうこの少年のようにイギリスにまっすぐな好意を示すことはなくなった。
胸に走った僅かな痛みに眉を寄せると、どうしたんだ、とアメリカが心配そうな顔を向けてきた。
「なんでもない」
そう言って、イギリスは痛みをやり過ごすことにする。
その痛みは、アメリカと決別して以来、時折感じてきたもので、その受け流し方にしても、イギリスはもはや慣れてしまっていた。
○あとがき
ちゃんとハッピーエンドにします……!!
野ウサギの巣や、木イチゴの茂みや、手作りだという鳥の巣箱や、アメリカは思いつく限りの素敵なものをイギリスに見せて回ろうとしているようだった。
「イギリス、今度はあっちだ!面白い花が咲いてるんだ!」
「少し落ち着けよ。別に俺は逃げないから」
小一時間アメリカにつきあっているうちに、イギリスもなんとか苦笑を浮かべる程度にまでは落ち着いていた。
小さなアメリカとの会話は、昔住んでいた家の中を手探りで歩くようなもので、一度コツをつかむとすぐにあの頃の調子を取り戻すことができた。
「最近イギリスが来なかったからだぞ。見せたいものがいっぱいたまってるんだ」
そう言って口を尖らせるアメリカの頭を、イギリスは温かい眼差しをして撫でる。
「俺もよくわからないんだが、多分今回は、しばらくここにいられると思う」
「本当!?」
「ああ。だから、少し休ませてくれ」
「うん!じゃあ、俺の家に行こう」
アメリカが方向転換して、イギリスに手を差し出した。
「こっちだぞ!」
「馬鹿、道くらい覚えてる」
「俺が手を繋ぎたいんだ!」
そう断言されてしまっては何も言えない。
照れくさい気持ちで、イギリスはアメリカのまだ小さな手に自分の手を重ねた。微塵の躊躇いもなくイギリスの手を握ると、アメリカは満面の笑みを浮かべる。
「この間、イギリスがくれた紅茶、まだ残ってるんだ。淹れてくれるかい?」
「ああ」
「今日は泊まっていくの?」
「……多分」
「だったら、寝る前にこの間してくれた竜退治の話してくれよ。あれ大好きなんだ」
「……そうだったな。お前、あれ好きだったよな」
懐かしい気持ちでイギリスは昔のことを思い出した。
アメリカにせがまれて、一晩中知っている限りの物語を語ったこともあった。
次は?次は?とアメリカがあんまり聞いてくるものだから、しまいにはストックがなくなって、自分で話を作ったこともあった。
イギリスは、この小さなアメリカを、今とても甘やかしてやりたい気分だった。
それはきっと、アメリカの為というより、自分の為にだろう、と思って、イギリスは自嘲の笑みを浮かべた。
「あ、もちろん、イギリスのことも大好きだからな!本当だぞ!」
突然そんな事を言われて、イギリスは一瞬思考を停止させた。
脳裏に一瞬浮かんだのは、今この場にいる可愛い少年ではなく、眼鏡をかけてハンバーガーをむさぼり食う、可愛くなくなった元少年の顔だった。
心のもやもやを晴らすように、イギリスはアメリカの髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。
「………………ばーか、子供の癖に、告白なんて百年早いんだよ」
「子供じゃないよ。背だって2センチも伸びたんだ!」
「子供子供。そういうこと言ってるうちは、まだ子供だ」
青年になった彼は、もうこの少年のようにイギリスにまっすぐな好意を示すことはなくなった。
胸に走った僅かな痛みに眉を寄せると、どうしたんだ、とアメリカが心配そうな顔を向けてきた。
「なんでもない」
そう言って、イギリスは痛みをやり過ごすことにする。
その痛みは、アメリカと決別して以来、時折感じてきたもので、その受け流し方にしても、イギリスはもはや慣れてしまっていた。
○あとがき
ちゃんとハッピーエンドにします……!!
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