FC2ブログ

*Dolce*

素敵サイト「キタユメ。」への愛を語るサイトです。他にもその日あった出来事や、趣味についてなど。

11月≪ 12月/12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫01月

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

金色のねむり・2

なんていうか、ごめんなさ……!(今更)










 ふっと気づいた時、イギリスはいつのまにか小高い丘の上に立っていた。
「な、何が起こったんだ?」
 周りを見渡すと、丘を下った所に森が見えた。森の中に人家があるのか、一筋の煙が上がっている。
 ざ、と風が丘を薙いで、草が波打つような波紋を描いた。

 この景色には、見覚えがある。

 イギリスは酷い既視感を覚え、無意識のうちに額に手を当てた。
 今ではもう、記憶の中にしかない景色だった。この丘から見える空も、森も、風も、とても大切で愛しいものとして、記憶の引き出しに鍵をかけてしまっていたものと寸分違わない。
 けれど、そんな筈はない。この場所は、とっくに開発されてなくなっている。あの小さな少年と共に、永遠に戻って来ないものの筈だ。
「イギリス!」
 突然後ろから腰の辺りに抱きつかれて、イギリスは泣きそうになった。
 これが誰だか、イギリスは知っている。
 名を呼ぶ声は、イギリスが知る青年の声よりも高い。まだ声変わりもしていないのだろう。子供特有の高い体温が服越しに伝わってきた。

 どうしてだ。どうして今頃。

「どうしたんだい?しばらく来れないって言ってたのに!仕事はもういいの?」
 青い、この大地を見下ろす空の色の瞳が、溢れんばかりの好意を湛えながらまっすぐに見つめてくる。
 太陽の光を弾いて輝くのは、実り多き麦の畑を思わせる髪だ。
「………………………………アメリカ」
 やっとのことでそれだけ言うと、イギリスはくしゃりと顔を歪ませて、少年の体を抱きしめた。


 過去に来てしまった。


 信じられないことだが、このアメリカがいるという事は、それは疑いようのない事実だ。
 夢なら覚めないでくれ、と思う自分と、今すぐ覚めて欲しいと願う自分がいた。
 相反する感情で、胸が引き裂かれそうだった。

「イギリス?どうしたんだ?誰かにいじめられたのかい?」
「…………違う、違うんだ。ただ……どうしていいかわからなくて……」
 もう、会えないと思っていた。
 何にも代え難く大切に思っていた少年が、今、目の前にいる。
 傷つけて、傷つけられて、失われてしまった筈の関係が、今この場所にあった。
 嬉しい筈なのに、この切なさは何なんだろう。どうしてこんな気持ちになるんだろう。
「だったら、森に行こう!この間、野ウサギの巣を見つけたんだ。赤ちゃんウサギがいて、すごくかわいいんだぞ。イギリスもきっと気に入るよ」
 アメリカは心底嬉しそうにイギリスの腕を引っ張って、森を示す。
 そうだな、と掠れた声で言うと、イギリスはゆっくりと立ち上がった。


 混乱した頭では、ろくな考えなど何一つ浮かびそうにない。
 ただ、まだ華奢な背中を見下ろして、ああ、この頃のアメリカは、こんなに小さかったのだな、と、ぼんやりと思った。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけOK

トラックバックURL

HOME

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。